18 Oct 2013
私の事務所では,電話でご相談を受け付けております。
無料ですが,そのかわり5分から10分程度の簡単なアドバイスになります。
必要であれば,そこから面接相談のため事務所に来ていただくこともあります。
高齢者の問題についても,よくご相談があるのですが,
その中で,ちょっと対応に困ってしまうのが,
虐待をしている方からのご相談です。
たとえば,親を虐待している(しているであろう)息子さん。
「昨日,母が連れて行かれました。
市役所の人がどこかに連れて行ってしまったんです。
どこにいるのか聞いても,教えてくれません。
警察に訴えましたが,まともにとり合ってくれません。
母の居場所を教えてほしい。母に会いたい。帰ってきてほしい。
どうしたら,いいでしょうか?」
たいていの場合,虐待をしている人は,自分が虐待していることに気づいていない。
あるいは,気づいていても,それは大したことではない。
そう思っています。
「そういう状況ですと,虐待をしたと疑われているのかもしれませんね。
お母さんに,何かしたのですか?」
私は,そんな風に水を向けます。
「いえ,私は,そんなことは絶対にしていません。
母はボケているんです。母が言っていることは嘘です」
電話で話しただけでは断定はできませんが,
虐待をしている可能性は十分あります。
「もし虐待をしていないのに,したと疑われているのであれば,
虐待をしていないことを証明しないといけません。
ただ,それを証明するのは難しいと思います。
もし虐待をしているのであれば,それを認めてください。
謝ってください。
すぐに帰ってくるということありませんが,
虐待の危険がなくなれば,お母様が戻ってくるかもしれません」
実際に,虐待を受けていた高齢者が保護された後,
元の自宅に戻れることもあります。
ただし,虐待の原因が取り除かれた場合だけです。
ところが,虐待をしている人は,なかなか虐待を認めようとしません。
「わたしはやっていません。絶対にやっていないのです。
信じてください」
と,私に言われても困ります。
たとえ私が信じたとしても,事態は何も変わりません。
残念ですが,このような方に,私はなす術がありません。
大竹夏夫
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