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元気な認知症 周りが困ってしまう

老後のリスクのひとつが認知症です。

認知症になってしまうと,自分で預貯金を管理できなくなります。
片付けもできなくなります。
いろいろ忘れてしまいます。
日常生活が立ち行かなくなるのです。

そのため,自分が困るのですが,
困るのは,自分だけではありません。

周りの人も,困ります。

とくに周りへの影響が大きいのは,認知症だけれども,身体は元気という方なんです。
元気なのは良いのですが,認知症ゆえに,トラブルを起こしやすいのです。

パターン別にいくつか具体例をご紹介しましょう。

1 一人暮らしパターン
2 親族と同居パターン
3 交渉の相手方パターン
の3つです。

1 まずは,一人暮らしパターンから。

結婚されていないお年寄りや,パートナーに先立たれたお年寄り,
子どもがいないか,疎遠になっていて,
一人で暮らしている方です。

統計では,65歳以上の一人暮らしは,全国で480万人位もいらっしゃいます。

お元気な方が前提ですから,当然,一人暮らしはできています。
元気であるがゆえに,ヘルパーなどの支援を全く受けずに生活していたりすると,
認知症に気づかずに,病状がどんどん進んでいきます。

認知症が進んでいくと,問題が起きます。

食事については,さすがに自分で何とかするようです。

まずできなくなるのは,片付け。
片付けが疎かになる。
できなくなります。

物やゴミが床に散乱していきます。
生ごみや食品包装パック等も放っておかれたりします。
臭いも出ますし,虫もわきます。

さらに,下の世話もきちんとできなくなります。
尿や便が垂れ流しになってしまう例もあります。

ここまで来ると,そのままでは中に入れません。
ある区では,そうした部屋を片付けるために,
ゴーグルをして,ガスマスクをして入ったそうです。

いわゆるゴミ屋敷も,このパターンに入ります。

このレベルになると,近所の住民やアパートの大家さんなどは大騒ぎ。
とても放っておけません。

けれども,ご本人は気にしていない。
「何が悪いの?」という態度。
自分が病気であるという意識もないので,
周りが騒いでいることが,むしろ自分が被害者だという意識になります。

2 親族らと同居パターン

都内に住むNさんは,実姉の認知症がひどくなったので,自宅に引き取りました。

もともと姉は夫と二人で暮らしていましたが,夫は3年前に亡くなりました。
お子さんがいらっしゃらなかったので,姉は自宅で一人で暮らしていたのですが,
一人暮らしパターンのような状態になってしまいました。

Nさんとしては,姉を放っておけず,
やむなく自分の自宅に連れてきて同居を始めました。
Nさんの奥さんと3人暮らしです。

同居は当初から試練の連続でした。
姉の認知症はかなり進んでいるのですが,身体は元気なのです。

認知症ゆえに,言うことを聞きません。
他人の家だというのに,自分の思うまま。
気に入らないことがあると,怒りだして,暴れたりもします。

姉は自分の病気だとは思っていません。
だから,主治医のいる病院にも,なかなか行こうとしません。
老人ホームへの入居を話しても,当然,拒否。

さらには,Nさんが自分の財産を狙っていると疑う始末。

Nさんは姉のために一生懸命やっているのに,
全く報われません。

Nさんご夫婦は,精神的にも追い込まれて体調を崩し,
姉よりも悪くなってしまいました。

もはや,同居は困難です。
本人が拒否しているとはいえ,やむを得ません。
何とかどこかの施設に入所させたほうが良いでしょう。

姉のことを考えるのはとても大切だけれども,
自分や家族の生活なり人生を犠牲にしてまでやることはない。

私は,そうアドバイスしました。

3 交渉事件の相手方パターン

私が頼まれた交渉の相手方が認知症というケースが,最近ありました。

金銭関係のトラブルについて,交渉の依頼を受けたのですが,
相手方は80歳超の男性。
この方が少し認知症なのです。

複数の病院によって診断が違うのですが,ひとつは認知症との診断が出ています。
ちゃんと会話はできますが,
肝心のことは記憶がとんでいたりします。
接触したときの様子からしても,軽度ではありますが,
認知症に間違いありません。

とくにお金に対する執着心が強い。
その割には,計算ができず,
お金の流れは全く理解できていません。
そのため,交渉は平行線のまま。

しかし,よく一人で生活できているなあと
かえって感心しています。

最近,相手方から事務所に電話がかかってくることが多くなってきました。
昨夜の留守録にメッセージが録音されていました。

 「四ツ谷怪談法律事務所の大竹冬夫弁護士はいますかあ〜。
  怖いですね。か弱いお年寄りをいじめないでくださいよう〜」

おちゃめですね。
びっくりするというより,おかしくなってしまいました。

周りの人に迷惑をかけないように,
自分が認知症になったらどうするか?
今のうちに考えておく,決めておくことが大切です。

それが「老活」です。

 「老活弁護士」 大 竹 夏 夫

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大竹夏夫

大竹夏夫

老活とは、「老後に備える準備活動」のことです。 老後になると、いろいろな問題がおきます。 お金の問題、健康の問題、住まいの問題、介護の問題などなど・・・ 例えば、認知症になってしまって、自分のお金を管理できない。 どこに財布をしまったか分からない。 通帳を見ても、意味が分からない。 そうなると、日々の食事すらできなくなってしまいます。 みなさん、元気なうちは、「大丈夫」と思って、準備をしないのですが、 実際に「こと」が起きたときには、「準備しておけば良かった・・・」と 後悔してしまうのです。 後悔しないように、元気なうちから、若いうちから準備をしましょう。 わたくし、老活弁護士の大竹夏夫が、みなさんの老後の準備をお手伝いいたします。

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