2 Jan 2014
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大竹夏夫の「老活ニュース」第59号 2014年1月2日
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今年最初の老活ニュースです。
今年最初の話題は,わたくしの母です。
ときおり自分の母親のことを書いておりますが,
これも介護の実録の一例になっております。
1月1日,年始のあいさつをするため,母が入居している老人ホームに行きました。
そのとき,看護師さんの指導のもとに,
母が胃瘻(いろう)になってから,はじめて,
食べ物を口に入れました。
これはとても素晴らしいことです。
母について初めて読む方のいらっしゃるので,
これまでの経過を簡単に説明しますと,
突然おかしくなったのは2011年1月。
ちょうど3年前です。
「貯金700万円下ろしてきたから,取りに来なさい」
と電話してきたり(本当に現金を用意していました),
「頼まれた物を買ってきたよ」と言って,
夜中にスーパーでしこたま買い物して私の家に持ってきたり,
「隣の人が財産を狙っている」などと言って,
警察を実家に呼んでしまったり,
たくさんの揉め事を起こし始めました。
最初は,認知症というよりも,精神病(妄想)でした。
1か月後に武蔵野病院(東京都板橋区)に入院。
(認知症で予約なく外来診察してくれる数少ない病院です)
それから,身体も頭もみるみる衰え,
その年の12月に病院を退院して,有料老人ホームに入所しましたが,
そのときには車イス。認知症も重度になっていました。
そして,2013年3月には,胃瘻(いろう)になってしまいました。
いや,わたしが胃瘻(いろう)にしました。
飲み込む力が弱くなり,誤嚥性肺炎を繰り返したからです。
そのときは,あまり深く考えずに胃瘻(いろう)を選んだのですが,
口から食べずに生きていくことが本当に良いのか?
などと,たびたび考えてしまいます。
母は,ほとんど車イスに座っているか,ベッドで横になって,
ボーっとして一日を過ごしています。
食事は数少ない楽しみ,喜びだったはず。
それを失ったことは大きい。
さっさと死んでしまったほうが幸せだったのではないか。
一度,胃瘻(いろう)にしてしまうと,
ほとんどの高齢者は,もう口から食べることはできない。
と言われます。
実際に,胃瘻(いろう)になってからは,
口を使うことがないので,
口に筋肉が衰えてきて,
しゃべることも億劫になり,
ますます認知症が進んでしまいました。
最近は,私の名前も思い出せないでいます。
(顔は分かっているようですが,どこまで分かっているかどうか)
そんななか,ホームの看護師さんが,
是非もう一度,口から食べられるようになってほしいと言ってくださり,
夏ころから,氷を口にいれて食べる(飲む?)練習をしていました。
そして,昨日,元旦の日に,
看護師さんが,ゼリーを食べることに挑戦させていただきました。
食べるリハビリ用のゼリーだそうです。
市販のカップゼリーの3分の1程度でしょうか。
母は,看護師さんや私の介助はあったものの,
自分の手でスプーンをもって,ゼリーを自分の口にもって食べました。
手や腕の筋肉が衰えていますし,口も思うように動かないので,
スプーンの頭を口の中まで入れられません。
唇まで持って行って,吸い込んでいました。
しかし,胃瘻(いろう)になってから,初めて,
食べ物を口に入れて食べました。
これは大きな前進です。
結局,カップ全部を食べました。
20分程度かかったでしょうか。
動きが遅いので,ものすごく時間がかかりましたが,
食べられました。
良かった。
この調子でいけば,もっと口から食べれるようになるかも知れません。
ホームの皆さんには,とっても感謝しています。
追加料金もなく,事実上,嚥下(飲み込み)のリハビリをしてくれています。
こちらのホームでは,看護師さんだけでなく,他のスタッフの方も
皆さん,入居者の方を少しでも元気になってほしいと言って
接してくれています。
そういう意味で,母は幸せです。
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大竹夏夫
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