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 大竹夏夫の「老活ニュース」第57号 2013年12月28日
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シリーズ「後見人が行く」第2回

「お通夜」(中編)

このシリーズは,後見人の仕事・役割を,
具体的なエピソードでご紹介するものです。

今回は後編としてお届けするつもりでしたが,
長くなってしまったので,
2回に分けて,今回は中編としました。

前号の「お通夜」(前編)でお伝えしたように,
私が後見人をしていた和田さん(90歳)が突然,亡くなられてしまいました。

和田さんのご遺体は,約3時間後には,地元の葬儀社に預けられました。

病院としてはご遺体を長く保管しているわけにいかない。
葬儀社としては,ご遺体を預かってしまえば,葬儀を受注できる可能性が高い。

病院とつながっている葬儀社に頼むと,高い葬儀費用を払わされると言われます。
確かにそういうリスクもありますが,
かといって,不案内な地方で別の葬儀社を探すことも難しい。
病院が紹介してくれる葬儀社に頼まざるをえません。

病院から私に「地元の葬儀社に引き取ってもらいますが,よろしいですか」
と尋ねられたので,
私は「お願いします」と答えました。

ここに,ひとつポイントがあります。

実は,成年後見人は,ご本人が亡くなった時点で,権限がなくなります。
法律上は,成年後見が終了して,相続が開始します。
一瞬です。
何の手続も入りません。
あくまで法律上のことですが,自動的に変わります。

しかし,事実としては,私はまだ亡くなられたご本人の財産を預かって管理しています。
ご本人が亡くなられた瞬間から,今度は,
相続人が受け取るべき遺産を,何の権限もなく,預かって管理している,
という状態になります。

ご遺体をどこに引き取ってもらうのかについても,
すでに元後見人に過ぎない私には何の権限もありません。

しかし,そのままご遺体を移せないと病院にご迷惑をかけることになります。
かといって,病院も誰かの承諾がないと葬儀社に預けにくいでしょうから,
権限がなくなっていることは知りつつ,
元成年後見人として,葬儀社にご遺体を預けることを承諾したのでした。

この点,後日ご遺族や相続人からクレームで出る可能性がありますが,
そのときはそのとき。
可能性は高くないので,私自身のリスクのもとに,病院に配慮したものです。

さて,その日の夜8時ころになって,ようやく弟さんと連絡がとれました。
ご自宅に戻られて,留守録を聞かれて,私の携帯電話に電話がかかってきました。

さぞかし驚かれ,悲しむのかと思ったら,結構サバサバしておられました。
「長い間,お世話になりました」
「一度は失いかけた命,よくここまで生かせてもらいました」
弟さんからは,そんな労いのお言葉を頂戴しました。

ここから主導権は相続人の一人として権限がある弟さんに移ります。

弟さんに葬儀社と直接連絡をとってもらい,葬儀の段取りをしてもらいました。
葬儀について,私は口を挟む立場ではありません。

弟さんは,当初,葬儀をしないで火葬にするとおっしゃっていたのですが,
出身地にあるご両親の菩提寺からご住職が来てくれることになったそうで,
お通夜と告別式も行うことになりました。

葬儀社の担当者から連絡があり,
お通夜は今度の日曜日の午後7時から。
告別式は翌日,月曜日の午前10時から
と決まったそうです。

さて,私が参列させていただくかどうか。

正直なところ、いろいろ考えました。

長くお手伝いさせていただいた方です。
是非とも最後のお別れをしたい。
ですが、遠い。
葬儀が行われる場所は、
東京から片道2時間半。往復を考えれば、半日かかってしまいます。

いや、本来なら、距離や時間を考えるべきではないのですが、
正直なところ、いろいろ考えました。
妻とも相談して、最終的には,
日曜日のお通夜だけ参列させていただいくことにしました。

この日曜日の夕食は家族全員でとる予定でした。
私は,平日はほとんど家族と一緒に夕食をとることができないので、
私にとっては日曜日に家族と一緒に夕食をとることは,
その意味で大切なことでした。

しかし、和田さんにお別れを伝えにいくことの方が大切です。
何度もあることではありません。
その点は妻も理解してくれて,快く賛成してくれました。

月曜日の予定を変更して告別式にも参列することも考えましたが、
月曜日の午前、午後には3件も予定が入っており、
同僚の弁護士と交替したり、延期したりするのが難しかったので、
告別式のほうは失礼することにしました。

(後編に続く)

※この事例は,実際にあった案件をもとにしつつも,
プライバシー配慮と分かりやすさのために,一部設定を変更しています。

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大竹夏夫

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老活とは、「老後に備える準備活動」のことです。 老後になると、いろいろな問題がおきます。 お金の問題、健康の問題、住まいの問題、介護の問題などなど・・・ 例えば、認知症になってしまって、自分のお金を管理できない。 どこに財布をしまったか分からない。 通帳を見ても、意味が分からない。 そうなると、日々の食事すらできなくなってしまいます。 みなさん、元気なうちは、「大丈夫」と思って、準備をしないのですが、 実際に「こと」が起きたときには、「準備しておけば良かった・・・」と 後悔してしまうのです。 後悔しないように、元気なうちから、若いうちから準備をしましょう。 わたくし、老活弁護士の大竹夏夫が、みなさんの老後の準備をお手伝いいたします。

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